井深大 「ものづくり魂」
この著書は、ソニー創業者・井深大さんの著書『わが友 本田宗一郎』と、
その井深さんと一緒にソニーを築きあげたパートナーである盛田昭夫さんとの対談等を
もとに、編者がそれらを“ものづくり”というキーワードに当てはめて、まとめたものです。
まず「わが友 本田宗一郎」に目を通すと、
井深さんの本田さんに対する尊敬と信頼、
そして何より本当に大切な友人だったということが、とてもよくわかります。
物静かな井深さんと陽気で活発な本田さんは一見、全然違うタイプの人間だと
思われがちですが、やはり昭和の製造業を盛り上げたお二人には共通点が多々あります。
その中でも少し意外だった表現があったので抜粋させていただきます。
「本田さんも私も、目的を達成しようという執念がひじょうに強い。
目的のためには、どんなにむちゃくちゃに見える手法であろうと、取り入れられるものは
なんでも取り入れるのです。その意味で、技術的には専門家でも玄人でもなく、
まったくの“素人”なのです。」
前回に紹介させていただいた著書『あたりまえのことをバカになってちゃんとやる』でも
書かれていましたが、頭でっかちで、なかなか第一歩が踏み出せないと
やはり結果は出づらいということなのでしょう。
知らないからといって何もしなかったら、現状を変えることはできない。
「知らない」ということは自分が思っているほど恥ずかしいことではないのでしょうね。
そんなことよりも一歩を踏み出す行動力の方が、よっぽど大切なのでしょう。
そしてソニーの創業時からの盟友、盛田昭夫さんとの対談。
ずっと一緒にいたお二人の貴重なお話が紹介されています。
本田宗一郎さんには 「藤澤武生さん」というパートナーがいました。
井深さんと盛田さんも絶大な信頼関係で成り立っていました。
盛田さんは代々続く由緒ある酒造業の長男だったのですが、
井深さんと一緒に、酒造業とは無縁の東京通信工業(現ソニー)を立ち上げたのは
有名な話です。
お二人のソニーでの活躍ぶりはあらためてここでは取り上げませんが、
のちに盛田さんの著書が文藝春秋の特集「日本を震撼させた57冊」に選ばれるなど、
ソニーの盛田としてだけでなく、日本の製造業の世界にとって
かけがえのない人物になられました。
このお二人も、ホンダの本田さん藤澤さんと同様、真逆のタイプだったようです。
こういった歴史を見ていると、違う二人が力を出し合えば本当に
1+1が3にも4にもなるんだなぁと感じさせられます。
この著書では、穏やかで物静かな井深さんの “熱い” ものづくりに対する想いが
ふんだんに堪能出来ます。
井深さんや本田さん、そして松下幸之助さんなど、
今の日本を作り上げたと言っても過言ではない人達の“言葉”には、
毎度毎度、本当に勉強させられます。
- 2011.10.28 Friday
- ビジネス書
- 19:21
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